周産期医療の現実
各都道府県の特徴を医療の面から見ることはあまりありませんが、埼玉県を見ると周産期医療の充実が挙げられます。これは埼玉県が東京都と隣接しているという地理的な優位を医療において上手に生かした好例であると言えます。
所沢市や朝霞市を中心とした地域にある総合周産期母子医療センターの存在は、特に埼玉県西部に暮らす若い夫婦にとっては大変心強い存在です。
しかし、その総合周産期母子医療センターでの活躍が期待される産科医や小児科医の数が、埼玉県では圧倒的に不足しています。また、医師全体で見ても人口10人あたりの医師の数は全国で最も不足しているのです。
看護師も含め、医療に携わる人であればおそらく、周産期医療の過酷な現場のことはご存知だと思います。そしてそれは、医師だけではなく看護師にとっても同じことがいえます。
しかし、この面で医師や看護師が不足しているため、埼玉県には全域で5つもある周産期母子医療センターが有機的に機能せず、結果として所沢にある総合センターへの負荷が大きくなります。
こうして、せっかく設備として充実している周産期母子医療センターがあるにもかかわらず、リスクの高い分娩においては母体を県外などに搬送してしまっているのが現状だそうです。
先にも言いましたが、周産期医療の仕事はまさに激務です。過密な勤務と特殊なケースの多い仕事なので、一定の経験が必要であるこの分野において、人材の確保が難しい状態になっているのはおそらく埼玉県だけではありません。
ただ、先の通り総合周産期母子医療センターや、5つの地域周産期医療センターを十分に活用するためには、この分野での人材の育成と確保が急がれているのが現状です。
埼玉県全体で見ますと、関東エリアの中では比較的看護師の人数は整っていると言えます。しかし、全国で見ますと人口10万人あたりの看護師の数は全国平均を大きく下回っているのが実情です。
また、今後の県民の高齢化に伴って、高齢者医療の需要が増大していくことを考えると、仮に看護師の確保のための施策をおこなったとしても看護師不足はさらに拡大されることが予想されています。
ですので、特に周産期医療の激務に挑戦しようという意欲のある看護師や、高齢者医療にある程度の経験のある看護師であれば、埼玉県では両手をついて歓迎したいほどの人材です。